「点呼が終わらない」から始める工場BCP
2026.01.19
国産セミアクティブRFIDメーカー、RFIDやIoT技術で現場の安全・効率化を実現
2026.01.19
災害時に「点呼が終わらない」「誰が建屋内に残っているか分からない」といった状況が起きる理由を、現場の構造的な要因として整理します。 そのうえで、電話・名簿・チャットを否定せずに補強する形で、平時の入退ログ(自動記録)をBCP初動に活かす考え方を解説します。
地震・火災・風水害などの有事や防災訓練のあと、工場・倉庫の現場では次のような状況が起きがちです。
たとえば「応援に来ていた協力会社の方が、点呼対象リストに入っていない」というだけでも、現場の確認作業は一気に長引きます。
点呼が長引く背景には、現場の混乱だけでなく、構造的な要因もあります。 出入りする人数が多い(協力会社・応援者・臨時入場者を含む)、勤務形態が複雑(夜勤・残業・休日出勤)、敷地が広い――こうした条件が重なるほど、 名簿と目視の確認だけでは追い切れず、どうしても時間がかかります。
BCPというと、設備復旧や代替生産、在庫、サプライチェーンの話が中心になりがちです。どれも重要ですが、工場・倉庫で最初に守るべきは人命です。
災害直後の現場では、次の3つが初動のカギになります。
この初動が遅れると、「確認のための確認」が増え、捜索・再確認が後手に回りやすくなります。
多くの企業では、災害時に次のようなフローで安否確認を進めます。
この方法は今後も必要です。ただ、これだけでは対応しきれない場面があります。
つまり、名簿・電話・チャットは「本人の意思で発信される情報」に大きく依存します。 そのため、有事の最初に必要な「今この瞬間、敷地内に残っている可能性があるか」を素早く把握するのには向いていません。
政府の防災基本計画では、災害発生から72時間は救命・救助活動において極めて重要な時間帯であることを踏まえ、 人命救助およびこれに必要な活動へ、人的・物的資源を優先的に配分するとしています。
また、阪神・淡路大震災では、倒壊した建物から救出され生き延びることができた人の約8割が、 家族や近所の住民等によって救出されたという調査結果もあります。
内閣府「平成26年版 防災白書」特集 第2章「公助の限界」と自助・共助による「ソフトパワー」の重要性
工場・倉庫でも、災害直後の初動では「全員の安否を確認する」より先に、敷地内に残っている可能性がある人を早く絞り込めるかが、 捜索や再確認の優先順位を左右します。
そこで重要になるのが、次のような情報です。
こうした情報が早く揃えば、避難完了後に「ゼロから点呼で洗い直す」作業を減らし、 捜索や再確認の優先順位をつけやすくなります。
「残留者把握」と聞くと、非常時専用の特別な仕組みが必要に思えるかもしれません。 ただ実際には、平時の入退管理・所在管理の仕組みを「BCPに転用できる形」で整えておくのが、最も運用しやすい方法です。
最後にどこを通ったかが分かる
探すエリアに優先順位をつけられる
初動で確認すべき人を絞り込める
ここでのポイントは、電話やチャットを置き換えることではありません。それらを補強するための土台として、入退場の記録を自動で残しておくという考え方です。
工場・倉庫で「通過ログ」を実用的に運用するには、次の要件が重要です。
点呼や記録のために作業者が止まる・操作する運用は、結局定着しません。両手が塞がっていても、フォークリフト運転中でも、自然にログが残ることが必要です。
ヘルメット・マスク着用、粉塵、油汚れ、暗所、屋外など、工場・倉庫の条件でも安定して記録できること。
「社員だけ分かる」では、有事の現場では盲点になります。誰が敷地内にいた可能性があるかを把握できる設計が必要です。
BCPは「システムが止まらないこと」が要件になります。ネットワーク断や運用体制も含め、現場の要件に合わせて構成を選べることが望ましいです。
こうした条件をまとめて満たせる方法の一つが、セミアクティブRFIDを使ったハンズフリー入退管理です。
今までの点呼や安否確認は、現場を守ってきた大切な仕組みです。ただ、働き方が多様化し、協力会社や出入りが増え、拠点が広くなるほど、「人手での洗い直し」には限界が出てきます。
こうした判断材料を、平時から自動で積み上げておく。それが、BCPの初動を強くする現実的な第一歩です。
本稿のポイントは、以下の3点です。
次回は、顔認証・ICカード・RFIDなど方式ごとの向き不向きを「現場条件」の視点で整理して解説します。
災害時に「敷地内に残っている可能性がある人」を早く絞り込みたい。
そのために、平時から入退ログを自動で残す。
“止まらずに通れる”ハンズフリー運用の考え方と
構成例を紹介します。